江國香織『ホリー・ガーデン』
果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。まるで自分のことのように。果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる……。心洗われる長編小説。
日常の幸せを考えさせられる、
一度読み終えたらもう一度読み返したくなった。
読み終えて、何が言いたいのかわからなかったが、惹きつけられる何かがあった。
日常のような非日常のような空気感が心地よかった。
それは江國さんの文章の綺麗さとか、言葉選びとかから感じるものなのだろうか。
内容で印象に残っているのは、果歩にとっての中野の関係。
中野は物語の初めから果歩のことをまっすぐに思っている。
ここまで思ってもらえて、それがわかったからこそ果歩に心情の変化が生まれたのかもしれない。
ここまで思える中野、思ってもらえる果歩が羨ましくなった。
感情移入とか共感とかそれ以外の魅力がこの本の中にはあった。
ずっと本棚に置いておきたい小説。